夕べ、寝る前にベッドの中で本("Poustinia: Encounterig God in Silence, Solitude and Prayer")を読んでいたら、ま〜やが私の寝室に入ってきて、ベッドの私の隣に横たわった。あらまぁ、なんと珍しいことが!と、私はただちに本を置いて、ま〜やと向き合った。

「どうしたの?」
「べつに」

 何とはなしに、とりとめもなく、しばらくおしゃべりをした。ま〜やが最近読んだシリアの難民に関するノンフィクションのこととか、アメリカの福音派と政治についてとか、大学で学んでいることや卒業後の進路のこと、ま〜やが半年前から付き合い始めたボーイフレンドのことなどなど… 

 おしゃべりしながら、こんなふうに私のところにやってきてとりとめのないことを話すなんて、もしかしたら、本当は何か伝えたい大切なことがあるんじゃなかろうか、と思い、途中で、「何かママに伝えたいことがあるの?」と聞くと、「べつに」と。ただおしゃべりしたいだけなら、それでいいんだけど。もちろん大歓迎なんだけど。

 ベッドに二人で横たわりながら、15年くらい前のことが思い出された。

 あれは多分、ま〜やがまだ5歳くらいのころ。ある夏の日の夜、竜巻警報が鳴って、家族で地下室に避難したことがあった。「トルネード警報だ。トルネードがくるかもしれない」と言いながら地下室に降り、そこで30分くらい過ごした。そして警報が解けてから、それぞれ自分の部屋に戻ったのだけれど、ま〜やは「怖いからママと寝る」と言って、私のベッドに入ってきた。
 無理もなかろうと思い、一緒に寝ていたら、なかなか寝付けなかったのか、天井をにらんでいたま〜やがふとこう言った。

 「ママ。トルネードって、蜘蛛の一種? Is tornado arachnid?」 
 「は?」
 「 Is tornado arachnid?」真剣な顔で、天井をにらみつつま〜やがゆっくりと繰り返す。彼女は、トルネードがなんなのかわかってなかったらしい。みんなが、「トルネードだ、トルネードがくるかもしれない」と言って地下室に隠れるのを見ながら、彼女は、巨大なクモがやって来るとでも思っていたのだろうか。可愛い。可愛すぎる。もしかしたら、誰かが空を見て、「雲が真っ黒だ」とか、そういうことを言ったのかもしれない。それで「クモ」という言葉に反応したのかもしれない。

 私は笑いをこらえながら、「違うよ。トルネードっていうのは、天候の一種。グルグルまわって吹き上げる、強い風のこと。」
 
 ま〜やは納得したのか何なのか、さらに天井をにらみつつ、真剣な口調でゆっくりとこう言った。

 「Tornado sounds like tomato. Tomato sounds like potato. I always get them confused. トルネードって、トマトに似てる。トマトはポテトに似てる。私、いつもトマトとポテトを間違えるの。」

 あまりに可愛くて、あまりにおかしくて、しばらく私が悶絶していると、ま〜やは自分の疑問を吐き出したら安心したのか、いつの間にか寝入っていた。

 夕べ、あのときと同じベッドの上で、あのときと同じように二人で並んで寝そべっていたら、 そのときのことがありありと思い出され、ま〜やにそれを話したら、彼女は爆笑していた。

 今年の冬休みは、特になんの予定も入れていないけれど、こういう時間が愛おしくて貴重。昨日の昼間は、ま〜やと二人で「Coco (邦題リメンバー・ミー)」をネットフリックスで見た。今日はまた別の映画を見るかもしれない。ま〜やのお勧めは「The Hate U Give」。さすがま〜や、よくわかってる。観たいと思ってたの。この映画はまだ新しいので、オンラインでは見れないかもしれないけど。

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昨日焼いた紅茶のシフォンケーキ。最近シフォンにはまっています。