娘が苦しんでいるときに、何もしてあげられることがないのは、本当に辛い。 せめて手を握ったり背中をさすってあげたりしたいのだけれど、ときにはうっかり触ると、逆に痛みや苦しさを増すようなので、手を払いのけられたりしてしまう。そうなると、本当に見ていることしかできない。 それでも側にいて、水やお茶をいれたり、嘔吐したときに口元をふいてあげたり、 彼女に代わって彼女の痛みの訴えをナースに伝えたり、と言ったことをしてあげられるだけでも、幸いなことだ。

 みんがステントを入れる手術をして戻ってきたとき、私は夫と交代してすでに家に帰っていたのだけれど、みんの第一声は"Where is Mom?"だったそうだ。 普段は私が一人で病室に来ると、彼女はいつも真っ先に"Where is Dad? Is he coming?"と言うのだけれど。 夫なんて、ここに来ても仕事をするか、携帯でゲームをするか、居眠りするかくらいなのに。(笑) それでも、私たちがいるだけでも、やはり多少は安心するのだろう。ステントを入れた日、夜になってから私がもう一度病院に戻って来たら、みんは息も絶え絶えだったのに、一言、「Thank you for coming」と言った。そして夜中、私がみんに付き添っていると、「I'm so glad you are here」と言った。何もできなくても、いるだけで彼女の支えになれるなら(ときにはうまく手伝えなくて怒られるとしても)、何時間でもここにいようと思える。

 痛みの中にあるとき、特に夜中、一人きりなのはどれほど心細く悲しいことだろう。  Productivitiy(生産性)という観点から考えるなら、痛む人の側に付き添うとは、何を生み出すでもなく、不毛なことだと言えるかもしれないが、それでもこれほど尊いことはないと思える。人が犬などのペットに慰めを見いだすのも、彼らが無条件で側に寄り添ってくれるからだろう。何を言うでも、何をするでもなく、ただ一緒にいてくれること。一緒に地にすわってくれること。ときには、それが何よりの慰めになる。

こうして彼らは彼とともに七日七夜、地にすわっていたが、だれも一言も彼に話しかけなかった。彼の痛みがあまりにもひどいのを見たからである。(ヨブ2:13)

 先日、私のSpiritual Directionのクラスの先生にメールした。冬休みの宿題で、一人で沈黙のリトリートに行き、そのときの体験についてレポートを書くというものがあったのだけれど、結局、病院との行ったり来たりでリトリートどころではなかったので、期限の延長のお願いと、今週のクラスには行けないことを伝えたら、次のようなお返事をいただいた。

あなたは今、起こっていることを、自分の計画を邪魔するものとしてでなく、あるがままに受け止めて生きているのです。これまでこの講座で学んできたこと、つまり、あなたやみんちゃんの生活は一瞬一瞬が聖なるものであり、神はいつもその真ん中におられるということを、あなたは今まさに実際に生きているのですよ。そのことを覚え、みんちゃんやあなたの毎日の中で起こっていることに注意を向けてください。…あなたの現実の生活の中で、「いま」このとき、神がどのように働いておられるかに思いを巡らせてください… あなたが疲労を覚え、それゆえに神のもとで休息したいと願っていること、それが鍵です。少しでも時間ができたら、それを受けとってください。どのような形だとしても、それがあなたのリトリートのときです。形式にこだわる必要はありません。

 彼女のメールを読むだけでとても慰められた。
 今の私にとって、みんの病室がリトリートの場所。ここは確かに聖なる空間。みんの苦しみの中の喘ぎ声に、イエス様のお姿が重なる。主がここにおられる。

 みんが激しい痛みの中で「Why does God hate me so much?」と叫んだとき、私はとても切なかった。でも、あとからそのことについて祈り思いを巡らしていると、それが十字架の上での「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」というイエス様ご自身の叫びと重なった。イエス様ご自身が誰よりも、みんの気持ちと痛みをご存知であられるのだ。そして、誰よりもイエス様ご自身が、みんに寄り添い、みんと共にその痛み苦しみを担ってくださっているのだ。

 昨夜までは、ステントを挿入したことによる痛みが強く、夜もほとんど眠れない状態だったが、今朝あたりから、ようやく落ち着いて来た。ドクターが来て、この調子なら、2日後くらいには退院できるかも、とのことだった。感謝!!
 昼ごろ、肺のカテーテルから浸出液を350ml抜いた。血中のヘモグロビン値が下がっているとのことで、今は輸血をしてもらっている。みんはさきほど眠りに落ちたが(グリーンのスウェットのかわりに、家からパパの着古したTシャツを持ってきて、とりあえずそれでしのいでいる。みんはパパが大好きなのだ)、眠る前に私に、「ママ、I love you so much. ちゃんとエクササイズしてね。ママが病気になったり倒れたりしたら大変なんだから」と言った。はい…(汗) みんのために、ちゃんと運動します。これもまた、恵み… 主よ、みんを通して語ってくださるあなたの言葉、あなたの御臨在を感謝します。


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うちの教会員で、この病院のナースをしている人が持ってきてくれた、ストレスボールがわりの握りしめられる柔らかい十字架。