しばらく前に、ケンが、「ちゃんとしたジャズサックスプレーヤーの先生から個人レッスンを受けたい」と言い始めた。 今は高校の音楽の時間の一部に、高校に来ている個人レッスンの先生からレッスンを受けているのだけれど、その先生はクラッシックサックス(オーケストラでの演奏)の先生なので、ジャズの演奏も教えてくれるものの、どうも今イチだとケンは言う。

 「エミが、自分の高校時代のいちばんの後悔は、いい先生についてヴァイオリンを習わなかったことだって言うんだ。エミの友だちで楽器が上手な子たちは、みんなシカゴのダウンタウンまで行ってレッスンを受けてたらしいよ。エミは、自分でお金を払わないでいいうちに、いい先生について習っておくべきだって言ってるんだ。」

 エミは、今は自分でレッスン料を払って、プリンストンにある音楽大学で紹介してもらった先生からヴァイオリンのレッスンを受けている。その先生がすばらしくて、こういう師にもっと早くに出逢っていたかった、と思ったそうだ。そして、もう25歳のエミは、レッスンを受けようと思うと自分でお金を払うことになるけれど、高校生のうちなら親に払ってもらえるから、今のうちにぜひいい先生を探しなさいとケンに入れ知恵したらしい。(苦笑) 

 ケンは、四人姉弟の末っ子であることの恩恵をフルに受けているね。お姉ちゃんたちからいつもいいアドバイスをもらって。(笑)

 しかし私たちは、ジャズサックスの先生なんて、どうやって見つけたらいいのかわからない。そこでエミに聞いてみると、「大学の先生がいいよ!」と言う。シカゴにある大学の音楽科の先生で、高校生に個人レッスンをしてくれる人がいないか探すといいとアドバイスしてくれた。

 そこで夫がさっそくシカゴ大学の音楽科に行ってジャズサックスを高校生に教えてくれそうな先生はいないか訊ねたところ、秘書の人が、ムワタ・ボウデン(Mwata Bowden)先生という方を紹介してくださった。ただし、とても忙しい先生なので、直接自分でメールを送っても読んでもらえないので、私が先生に話しをつけておきますよ、とありがたい申し出。なんでも、ボウデン先生自身も、高校生のときにプロサックス奏者に出逢ったことがきっかけでその道に入ったので、高校生への教育にはきっと関心があるだろう、と。そして、その秘書の方経由でボウデン先生に連絡を取ったら、さっそく、ケンに会ってくださるとのことで、昨日の夕方、シカゴ大学の音楽科まで行ってきた。

 約束の時間のちょっと前に音楽科の建物(夫の学科の建物のすぐ近く)に到着すると、ちょうどボウデン先生も現れて(ケンのために、わざわざその時間に出てきてくださったうようだ)、皆で一緒に建物の中に入った。

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 調べてみると、このボウデン先生は、シカゴジャズ界では有名な木管楽器奏者らしい。YouTubeで検索すると、すごく前衛的なジャズの演奏の動画が出てきて、前衛的すぎて私には理解できず、最初はあせってしまった。それでも、もともとはクラッシックでトレーニングを受け、のちにジャズに転向した人で、前衛的なことだけでなく、スタンダードなジャズももちろんやっておられるらしい。

 教室に入ると、先生はご自分のバリトンサックスを取り出し、ケンも高校からレンタルしている(!)テナーサックスを取り出し、さっそくスケール(音階)から。

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 私や夫にはピンとこないようなジャズ音楽用語がバンバン出てきたけれど、ケンはかろうじてついていっていた様子。

 そして今後は、週に一回、1時間のレッスンを受けさせていただけることになった。先生いわく、まだ15歳なので最初は30分のレッスンかなと思っていたけれど、ケンなら1時間でもついてこれるでしょう、と。いい耳を持っていると褒めて(?)いただいた。ケンの演奏は、クラッシックの演奏法がすっかり染み付いているのだけれど、ケンはサックスを吹くならやっぱりジャズ、という思いがあるようで、いい先生に習えることになり喜んでいる。エミの入れ知恵に感謝だね。

 この先生は、シカゴで日本人のジャズベース奏者タツ青木さんという方ともコラボをしているようで、和太鼓やほかのエスニックな楽器を取り入れたアジアンジャズなるものもなさっているらしいので、もしかしたらケンが日本人であることも関心を持ってもらえた要因だったのかも…

 ちなみにケンは、高校を卒業したらレンタルではない、自分のテナーサックスがほしいと言っている。(アルトサックスは持っているのだけれど。)曰く、「古いテナーサックスがほしい。」私が、「古いって、どういうこと? つまり、ヴィンテージ?」と追及すると、クククと笑って「そう。」冗談じゃないよ! ヴィンテージのサックスなんて、どれだけするかわかったものじゃない。自分でお小遣いをためなさい。(笑)

(ところでこの先生のレッスン料は、有名な方だからどれだけ高いかとドキドキしていたら、全然普通のお値段で、逆にびっくりした。)