レッスンその6:力のバランスシートを見直す(前)

 

生きていく上では、仕事上の決断、進路の選択から、人間関係のもつれや問題のある人に対処するなど、難しい決断をし、思い切った行動を起こさなくてはならないときがあります。神から委ねられた人生の忠実な管理者として、主だけを畏れ、主の御声に聞き従いつつ、難しい決断や選択にも勇敢に立ち向かいたいものです。

しかしながら私たちは、さまざまな恐れによって、主体的な選択ができなくなることがあります。喪失を恐れ、傷つくことを恐れ、非難や攻撃されることを恐れるのです。人間は本来、相互の関係の中で生きるように造られましたが、特定の関係のみに依存していると、その関係を失うことを恐れるため自由を失います。

そうならないようにするには、「しっかり立つ」ことです。パウロは、「キリストは、自由を得させるために、私たちを解放してくださいました。ですから、あなたがたは、しっかり立って、またと奴隷のくびきを負わせられないようにしなさい」(ガラテヤ51)と言いました。恐れや依存に支配されないよう「しっかり立つ」ために、私たちは具体的にさまざまなことができます。

Aさんは、約一年の失業のあと、ある団体のスタッフとしての職を得ました。ところが職場の人間関係が悪く、仕事はやり甲斐があるものの、そこで働き続けることは大きな苦痛でした。しかし、ただ辞めてしまってはまた失業してしまいます。祈った結果、主が押し出してくださるのを感じ、仕事を続けつつ医療事務の資格を取り、やがて病院に転職することになりました。

Bさんは夫がアルコール依存症でした。酔っては暴力をふるう夫に途方に暮れる日々でしたが、友人に勧められ、アラノン(アルコール依存症者の家族のための自助グループ)に加わりました。そしてアラノンで出会った同じの境遇の仲間を通して支援と励ましを得て、夫への対応の仕方や前向きに生きることを学び始めました。

Cさんの顧客は気難しく、対応するのがとても大変な人でした。Cさんは自分の売り上げのほとんどをこの顧客に依存していたため、苦情を言うことも、取引をやめることもできずにいました。しかし努力して取引先を増やした結果、Cさんはもはやこの顧客を失うことを恐れずに、適切な対処ができるようになりました。

 

これらの人たちは皆、奴隷のくびきを拒否し、主が注いでくださる力を行使して行動を起こすことで、御子がすでに与えてくださった自由の上にしっかり立ったのです。

クリスチャン新聞2010年7月25日号掲載

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