レッスンその4:ルールを作って自由になる(後)

 

 パウロは、すべてのことはしてもよいが、すべてのことが有益とは限らないと言いました。自分にはそれを行う自由があるけれど、その自由のせいで生活のある領域の統制がうまく取れなくなっている場合、自分専用のルールを作ってそこに自主的な制限を加えるのは賢明なことです。

 心理学者ヘンリー・クラウド博士は、その著書『厄介な上司・同僚に振り回されない仕事術』の中で、特に以下の領域でのルールに言及しています。

 「毒」になる関係:理由は何であれ、関わるといつも消耗したり嫌な思いにさせられたりするなどして、精神衛生に悪いという人間関係があるかもしれません。モラルハラスメントはそのいい例です。職場の人など、顔を会わせないわけにはいかない場合でも、会う時間や場所、回数に自分の側で何らかの制限を設けることは可能です。
 実家の親兄弟との関係が難しく、一人きりでは実家に帰らないというルールを持っている人もいます。毒になる関係に無防備なまま自分をさらし続けるべきではありません。例えば、怒鳴る人を黙らせることはできませんが、相手が怒鳴りだしたら自分はその場を去るというルールは持てます。

 活力の管理:時間管理についてはよく語られますが、活力も自ら管理すべき重要な資源です。自分がベストの体調でいられる時間をさほど優先順位の高くないことに当ててしまい、重要な仕事をすべきときに十分な活力が残っていないということがよくあるのです。自分がいちばん活力のある時間帯を最も重要な仕事に当てるようなスケジュールを、可能な限り意識して組みましょう。

 また、重要な仕事の前には、活力や気力を消耗するような活動の予定を入れない、というルールも有益です。具体的なことは人によって異なるので、自分自身の体調の波や、各種の活動が体力・気力的に自分にどのような影響をもたらすかをよく知ることが鍵となります。
 クラウド博士は反応性低血糖の持病があるため、講演の前には必ず高タンパクの食事を摂るというルールを持っているそうです。私は時間のプレッシャーに非常に弱いので、締め切りのある仕事は十分なゆとりを持って始めるというルールを持っています。

 自分の生活の中でどんなときに惨めな状況が起きているか、振り返って吟味してみましょう。それは一回きりの出来事ではなく、何らかの同じパターンがあるでしょうか。もしそうなら、それを繰り返さずに済むためのルールを自分のために設定しましょう。

クリスチャン新聞2010年6月13日号掲載

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