レッスンその3:時間の監査(前)

 

 境界線のエッセンスは、神が私たちに委ねておられるものを知り、その良き管理者となることです。

 私たちには多くのものが委ねらていますが、時間もその一つです。ミナのたとえのように、1日24時間という時間は、私たちすべてに等しく与えられています。しかしそれをどう用いるかによって、そこから生み出されるものには雲泥の差があります。

 『厄介な上司・同僚に振り回されない仕事術』の著者ヘンリー・クラウド博士は、時間の良き管理者となるにあたり、「時間の監査」をすることを勧めています。「時間の監査」とは、自分の時間の使い方が目的にかなったものになっているか吟味することです。そのためにはまず、自分の価値観や、ビジョン・使命・目的・目標を確認するところから始めます。これが自分の時間の使い方を評価する上での基準となります。仕事面だけでなく、信仰や家族・友人など、人生全体における価値観やビジョンも考慮しましょう。

 それから、自分が毎日何にどれだけ時間を費やしているか、しばらくの期間、三〇分刻みで具体的な記録をとります。生活のサイクルが規則的な人は、数週間で充分かもしれませんし、出張などが多くサイクルが不規則な人は、半年くらい続けると全体的なパターンが見えやすいでしょう。次に、その集計結果が、先に確認した自分の価値観などを反映しているか吟味します。時間の感覚とは主観的なものなので、この方法は現状を客観的に把握するのに有益です。

健康に価値を置いているつもりでいながら、健康維持に必要な活動にほとんど時間を使っていないなら、自分の価値観と実際の時間の使い方にギャップがあることになります。家族や友人、信仰が大切なら、それらの関係を深めることや、霊的な養いとなることに充分な時間を費やしているでしょうか。翻訳家が今月中に原稿を脱稿するという目標を掲げながら、パソコンに向かってネットサーフばかりしているなら、そこにもギャップがあります。

必ずしも「浪費」ではなくても、自分の使命や目標達成のために最善とは言えない活動に多くの時間を裂いている場合もあるでしょう。あるいは緊急事項の対処にばかり追われているかもしれません。物事の進み具合と、集中した時間と活力の用い方の間には、通常直接的な因果関係があるものです。

ギャップが見つかったなら、ここからが肝心です。自分の価値観などに沿って用いていない時間について、なぜそうなのか、代わりに何にその時間を費やしているのか、分析します。


クリスチャン新聞 2010年3月28日号掲載

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