米オバマ政権は10日、過激派組織「イスラム国」に拘束されていた米国人のケイラ・ミューラーさんが死亡したことを確認したと発表した。…… 複数の米メディアによると、ミューラーさんは26歳。援助関係の仕事でシリアに入国し、2013年8月に行方が分からなくなっていた。「イスラム国」は数億円の身代金支払いや、米国で収監中のパキスタン人の神経科学者アーフィア・シディキ受刑者らとの交換を要求していたという。



 悲しいニュースが続いています。つい先日も、ISISに人質になっていた二人の日本人がいのちを奪われました。そのうちの一人、後藤健二さんはシリアなどの危険な地域に入って人道的な活動をしていたジャーナリストで、クリスチャンでした。


 数日前には、ISISに捕られていたアメリカ人の援助活動家のケイラ・ミューラーさんの死亡が確認されたというニュースが入りました。


 このケイラさんが2011年に父親宛に書いた手紙の一節が、昨日、Facebookで流れてきて、その言葉にとても心を揺さぶられました。


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I find God in the suffering eyes reflected in mine. If this is how you are revealed to me, this is how I will forever seek you.



 これは、まだISISに拘束される前、シリアで苦しんでいる人たちを援助していたときのケイラさんの言葉。彼女は、苦しんでいる人たちの中に主を見ました。苦しんでいる人たちに寄り添い続けるというのは、大変なことだと思います。でもケイラさんは、もしそれが、神様が私にご自身を現す方法としてお選びになったものであるなら、私も苦しむ人たちにいつまでも寄り添い続けることで、神様を求める、と…


 美しいもの、心地よいもののうちに神様が現されるときには、喜んでそれらのものを求めたいと思うけれど、苦しみや痛みの中に神様が現されるとき、私なら、どれだけ逃げ出さずに神様を求め続けることができるだろうかと、考えさせられました。


 さらに、ケイラさんが去年、獄中からご家族に宛てて書いた手紙も、ご家族が公開してくださいました。手紙によると、一足先に解放された捕虜の人に、ケイラさんがこの手紙を託したらしいです。




 英語が読める方は、ぜひリンク先に行ってお読みになってください。(時間のゆとりがあれば、訳すかもしれませんが…)


 26歳の若い女性が、ISISに拘束された牢獄の中から、こんなにも美しい手紙を書けるなんて…


 まるで、現代の、使徒による獄中書簡です。






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I remember mom always telling me that all in all in the end the only one you really have is God. I have come to a place in experience where, in every sense of the word, I have surrendered myself to our creator b/c literally there was no else … + by God + by your prayers I have felt tenderly cradled in freefall.


I have been shown in darkness, light + have learned that even in prison, one can be free. I am grateful. I have come to see that there is good in every situation, sometimes we just have to look for it.


......


I pray each each day that if nothing else, you have felt a certain closeness + surrender to God as well + have formed a bond of love + support amongst one another … I miss you all as if it has been a decade of forced separation.


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Please be patient, give your pain to God. I know you would want me to remain strong. That is exactly what I am doing. Do not fear for me, continue to pray as will I + by God’s will we will be together soon.


All my everything, Kayla


お母さんはいつも私に言っていましたよね。結局のところ、私たちが本当に持っているのは唯一神様だけなのよ、と。その言葉の真実を、私は今実感しています。造り主であるお方に、私は自分のすべてを明け渡しました。文字通り、ほかに誰もいないのですから。そして、神様と、みんなの祈りのおかげで、真っ逆さまに落ちていく中でも、優しく包まれているのを感じました。


私は暗闇の中で光を見せていただきました。そしてたとえ牢獄の中でも、人は自由でいられることを学びました。私は感謝しています。どんな状況の中にも、善いものは存在することを知りました。ただ、時にはよく探さないといけないのですが。



毎日祈っています。何よりも、みんなが親密さのうちに守られ、神様にも明け渡すことができるようにと。そして愛の絆で結ばれ、お互いに支え合うことができるようにと。...まるでもう10年もの間無理やり引き離されているかのように、みんなのことが恋しいです。


....


どうぞ忍耐してください。そしてあなたの痛みを神様に差し出してください。あなたは、私が強くあることを願っているでしょう。そう思って私も、頑張っています。私のために恐れないでくださいね。私も祈っていますから、みんなも祈り続けてください。みこころなら、もうすぐ会えますから。


私のすべてをこめて、ケイラ




(はちこ訳 太字ははちこによる)


 


 後藤さんといい、ケイラさんといい…なんと尊いギフトを私たちに残してくださったことか… 願わくば、地に落ちたこのお二人のいのちが、主にあって多くの実を結びますように。そのために、残された私たちは、今、それぞれの地で、それぞれの状況の中で、生かされているのだと思いました。私たちも、それぞれの地で、それぞれの状況の中で、召されるままに、導かれるままに、愛し、赦し、苦しむ人や弱い人に寄り添っていけますように。


===追記===


お友達の結城絵美子さんがケイラさんの手紙を翻訳なさっておられました。


許可をいただいたので、ここに転載させていただきます。絵美子さんありがとう!


[この手紙をみんなが受け取ったとしたら、それは、私はまだ拘束されているけど、私と一緒に(2014年11月2日から)監房に入っていた友人は解放されたということです。


彼女たちに、私の家族に連絡してほしいと頼んでこの手紙を託しました。何て書いたらいいかわからないけど、私が安全な場所にいて、少しも傷つけられていなくて、健康で(実際、少し体重が増えたの)最大限の敬意をもって親切な対応を受けていることを伝えたいと思います。


私はよく考えてこの手紙を書きたいと思いました(と言っても、同房の友人が数日のうちに解放されるか、それとも数ヵ月のうちなのかわからないので、どれくらいの時間をかけられるかわからないんだけど、できるだけ吟味して書きます)。みんなのことを考えると涙が止まらなくなるので一度にちょっとずつしか書けません。


もし私が「苦しめられている」とするならば、それはみんなをどれだけ苦しめているかという意味においてのみです。赦してなんてとても言えないと思っています。


ママがいつも私に、最後の最後にあなたにたった一つ残るものは神様よ、と言っていたことを思い出しています。その言葉が本当にそのとおりだということを今、経験しています。私は、私たちの創造主である神様に私のことをおまかせします。本当に、他にはだれも頼れる人はいないんだもの。神様と、それからみんなの祈りの中で、私はまっさかさまに落ちていくときにも優しい手で抱かれているように感じることができます。


私は闇の中で光を見ました。そして、たとえ監房の中にいても自由でいられることを発見しました。私は感謝してるの。どんな状況の中にも神様がいてくださることを知ったから。時にはただ、待ち望むことが必要です。


私は毎日毎日、何よりも、神様がそばにいてくださることをみんなが感じられるように、神様にすべてを明け渡せるように、愛で結ばれてお互いに支え合えるように祈っています。


……もう10年も引き裂かれているみたいにみんなのことがなつかしい。


私には今、考える時間がたくさんあるから、これから何をするかについても考えました。


レックス、家族で行った初めてのキャンプの旅、空港での初めての出会い。あなたなしで25歳を迎えて、私の人生の中であなたが占める位置がどんなに大きかったか噛みしめています。


家族の一人ひとりと、私が今の私でいられることが私の人生への贈り物です。私の人生にあなたたちがいなかったら、あなたたちが私の家族ではなかったら、私の支えではなかったら、私は今の私ではいられませんでした。


私の解放のために「絶対に」交渉に応じてほしくはありません。もし他に選択肢があるなら、時間がかかってもいいからそちらを選んでください。このことで決して重荷を負わないでください。


私は彼女たちにあなたたちの支えになってくれるよう、頼みました。彼女たちのアドバイスに耳を傾けてください。もし、まだ試していなかったら、****がこの人達にある程度話を通せるかもしれない****にコンタクトをとれるかもしれません。


拘束がこんなに長くなるなんて、私たちは思っていませんでした。でも、私は私にできる方法でここで戦っています。私の心の中には、まだまだ戦うべきことがあるの。


私はくじけていません。どんなに長引こうと、私はあきらめません。数ヵ月前にこんな歌を書きました。「私の中の最も痛む部分が、私をベッドから起き上がらせてくれる。あなたへの希望がなければ何も残らない」


わかるでしょう? あなたたちが苦しんでいるだろうということが私の苦しみの理由であり、あなたたちにまた会いたいという希望が私の力の源になっています。


どうぞ、辛抱してください。そして、苦痛を神様にゆだねてね。私に強くあってほしいと願っているでしょう? 願いどおり、私は今、強い私でいます。恐れないで、祈り続けて。私もそうするから。御心ならすぐに会えるわ。


ケイラ](訳by結城絵美子さん)