『福音の再発見』を翻訳出版して以来、「『4つの法則』のような提示の仕方がよくないというなら、どのように福音を提示すればいいのですか?」という質問をよく聞くようになった。もっともな質問だと思う。率直に言って、私も知りたい。(!)


 まとまった答えは今の私にはないので、声に出しながら考えるような感じで、考えていることをポツポツ書き留めておこうと思う。


 『福音の再発見』の著者スコット・マクナイトは、「神はあなたを愛しています」「あなたには罪があるため神様と関係を持てません」「あなたの罪の身代わりとなってイエスが十字架にかかって死んでくださいました」「あなたもイエスを自分の救い主として信じるなら、神の子とされて死後に天国に行けるようになります」の4つのポイントにまとめられるものが福音の全貌ではないと言った。これが福音ではないというわけではないが、福音の全貌ではないのだ。問題は、自分の救いにかかわるごく一部だけを取り上げて、それを「福音」としてしまったことにある。ということは、「福音の提示法」を考えるとき、このリストの中身を別のリストと取り替えれば良いというものではないことになる。つまり、的を絞ったリストやチェックポイントを押さえるような提示法からは、頭を切り替えたほうがいいのかもしれない。


 JCFNの理事会で、高橋秀典先生が、「今はストーリーテリングの時代なんですよ」とおっしゃっていた。その通りだと実感している。実際、近年特に、猫も杓子もストーリー、ナラティブ、物語と言い出した感がある。マクナイトも前述書で、福音とは旧約聖書に見られるイスラエルのストーリーを完成させるものとしてのイエスのストーリー、というような言い方をしている。(でも、ストーリーテリングの元祖は、やっぱりイエスさまですよね。)


 うちの教会の牧師は信徒たちに、「あなたがノンクリスチャンの隣人に福音を語るとき、教義を語ろうとする必要はありません、それは牧師の仕事です。あなたはあなたのストーリーを語ってください。あなたの人生の中でイエスがどのようにあなたに触れ、どのようにあなたの人生が変わったかというストーリーを語ってください」と言う。それを聞いたとき、そういえば私のブログも、私の人生にイエスがどう関わってくださっているかというストーリーを、ひたすら語り続けていたことになるのかなぁと思った。


 また、うちの牧師は、ノンクリスチャンに福音を伝えたいと思うときは、一方的に語るのではなく、相手に問いかけることによって対話をし、相手に自分で考えさせるのも一つのやり方だと言っていた。たとえば、「How's your kingdom working for you?」とか。(注:アメリカの人気のTVカウンセラーにDr. フィルという人がいて、人生相談に来る人に自分で自分の問題に気づかせるために、「How's that working for you?」という決め質問をすることで有名な人がいて、それをもじったもの。)相手が真摯に自分の現状を見た時にうまくいっていないと感じる部分があるなら、イエスのやり方を一緒に学んでみませんか?と促す方法… ダラス・ウィラードも、伝道のときのお決まりの、「今日あなたが死んだら、あなたはどこへ行くか知っていますか?」という問いではなく、たとえば相手が30歳の人だとして、「あなたが80歳まで生きるとしたら、あなたの人生はまだあと50年もありますよね。その50年間を、あなたはどのように生きていくつもりですか?」と問うてはどうかと言っていた。このようなアプローチでは、救いとイエスの弟子となることとが、切っても切れない関係になっている。


 あと、話が変わるけれど、私がシカゴで行っている日本語婦人聖研では、ほぼ毎回のように、創世記一章の創造のストーリーから始まって、イスラエルのストーリー(神様の約束とそれにもかかわらずの簒奪者としてのイスラエルなどなど)をざーっと語り、イエスの誕生とは神様のイエスラエルへの約束としてのメシアの到来であったことに触れ、それからそのとき、そのときで学んでいる箇所がその中でどこに位置づけられるのかを話してから、その日の学びの箇所に入るようにしている。ほんとに毎回のようにそれを繰り返し語っているので、この聖研にレギュラーで参加している人たちは、もう耳にタコができているかもしれない。(笑)旧約聖書から学んでいたときは、そうやってメシアなるイエスの到来への期待感を高めていった。前回の学びではついにイエスの誕生の箇所に入ったので、次回からは、イエスの地上での生涯と、十字架、復活、そしてイエスの弟子となること、イエスの再臨と新天新地の完成へと続いていく。ああ、楽しみ!


 えーと、話がずれましたが… 書きながら考えているので、これといった答えがあるわけではありません。これからも考え続けていこうと思います。


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