ここ1週間ほど仕事がはかどって気持ちがいいわい、と思いながら、次の論文のデータをとるべく質量輸送の計算プログラムを見直していると、恐るべきことを発見してしまった。SI単位系の計算なのに、ヘクトパスカルのまま数値を代入していたのである。つまり、いままで得られていた数値は正しい値よりなんと2ケタも小さかったのであ~る。いつも学生にこういう間違いはするなよ、と口をすっぱくして言っている類いの間違いだ。ぐぇっっ。間違いが分かったのだからいいじゃないかってなもんだが、そうとも言いきれないのが悲しいところだ。この結果をすでに6月の米国気象学会で堂々と発表してしまっているのである。しかもごていねいに、「得られた値が既存の数値に比べて2ケタも小さいということは、特筆にあたいする」とか、いかにも新発見といわんばかりのキャッチフレーズで大々的に触れ込んでしまった。わざわざ私の話を聴きにきてくれた200人以上の聴衆が、ふむふむとノートを取っていた様子が思い出されて、いよいよ大汗である。実は100掛けるのを忘れてましたとは、なさけねえなあ。発表を聴きにきてくださった皆さん、ごめんなさい。やはり、発表の寸前に仕込んだネタをよく確かめもせずパワーポイントに乗せようとしたのがまずかった。学会発表の出版論文にはこのような不手際がないようにします。以前、物理の田崎先生が学会発表の誤りを直ちに修正していて感心したことがあったが、誤りに気がつくまでに6ヶ月もかかるところが、地球物理とのタイムスケールの違いであろう(いえ、単に私がサボっていただけでございます)。