2日目は、朝10時から始まるはずが予定変更があって9時から開始。精神科医のオカモト先生の「クリスチャン生活と脳における化学的不均衡」という講演がまず1時間、続いて10時過ぎからタウンゼント先生の「境界線」に関する講演の第二回め。この日は初日ほどは緊張していなかったし、時間が過ぎるのもあっと言う間に感じた。


「Swine Test」が出たのはこの日だったかな。初日だったかもしれない。話の流れは正確には覚えていないけれど、どういう場合には他者に助けの手を差し伸べ、どういう場合には差し伸べない方がいいのか、というような文脈だったと思う。困っている人のことは助けるべきだけれど、単に無責任で怠惰なだけの人の場合は、むやみに助けるとかえって相手の成長の妨げになってしまう。また聖書には「豚に真珠を投げてはいけない(マタイ7:6)」と書いてある。私たちの境界線の内側にあるものは、私たちが責任を持って管理すべき宝であり、「真珠」である。それを豚に投げるような真似をして無駄にしてしまうことは、よき管理者のすべきことではない。では相手が本当に困っている誠実な人なのか、それとも相手から搾取したいだけの無責任で怠惰な人(「豚-swine-」)であるのか、どうやって見分けたらいいのか。そんなときは聖書に従って、まず「恵み」から始めよう。相手に助けを差し伸べて、その人がそれをもとにどんな実を生むのかを見極める。相手が「人間」であれば、その人はあなたが差し伸べた助けの手に感謝し、それをもとに自ら立ち上がっていくだろう、しかし「豚」であるなら、その人はあなたからもっと搾取しようとして「ブーブー」言うだけだろう… 


とてもわかり易い良いお話だったのだけど、先生は、この「ブーブー」の部分、思い切り鼻をならしてリアルな豚の物まねをなさった。この豚の瞬間芸は、私があらためて通訳(?)するまでもあるまいと思い、私は「I'm not gonna do that! (私はそれはしませんよ!)」と先生に言った。「えー、やらないのー?」と先生。最前列にいたキャシー(尾山清仁先生の奥様)からは「Boundaries!」と声援が飛んだ。そこで私は先生にこう申し上げた。


「Even when I'm interpreting, I have my boundaries! (たとえ通訳をしているときでも、私には境界線がありますから!)」 会場からは拍手が沸き起こった。先生は笑いながら、


「I hate people with healthy boundaries! (健全な境界線を持った人は嫌ですねぇ!)」


このようなやりとりは、通常なら通訳としての役割を踏み越えていて御法度だろうけれど、実は先生は、先生と私の関係を使って境界線の実例を示すような寸劇というか、ロールプレイみたいなことができればいいね、と事前におっしゃっていたのでした。今回のこのやりとりは予定されていたわけではなかったけれど、結果として先生が希望されていたような流れになったので良かった。


で、この後どういう話になったのかは、私の記憶にはまったく残っていない。やっぱり緊張してたのかなぁ。